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2007年8月

将棋に「解」はあるのか--もう一つの知的ゲーム

ボナンザVS勝負脳―最強将棋ソフトは人間を超えるか (角川oneテーマ21 C 136)

買ったきっかけ:
これは、見た瞬間、買いでしょ。
企画の勝利。売れるのが約束された本。

感想:
 理詰めで「将棋には(最適)解がある。コンピューターは人間を超える」と説く保木氏。
 トッププロとして、「どんな状況でもコンピューターに勝ち続けるつもりだ」と断言する渡辺氏。
 主張の対立による気持ちの良い緊張感と、特に渡辺氏の真摯な筆が、本書を出色の読み物にしている。
 コンピューター(あるいは人間)の長所、短所を描写する渡辺氏の筆致の的確さは大変立派なもの。頭の良い人だ。

 たとえば147P。

 将棋界では「負けてもこうやる一手」という言葉がある。これは少し苦しめの局面で「悔しいので負けてもこうやる一手」と、感情的に指してしまうことであるが、たいていの場合「負けても」の一手はいい手ではないことが多い。本当は悔しくてもそういうときに辛抱しなければいけないのだ。
 自分も調子がいいときは、「負けてもこうやるべき」という思いを抑えて、粘りの手を指している。悔しくとも辛抱していればいつかはチャンスが来る。
 「負けてもこうやる一手」はたいてい「負けを早める一手」になる。人間の感情は必ずしも勝負にプラスに働くとは限らない。
 コンピューターはその点では感情がないので人間より優れている。

 的確かつ示唆に富む分析、と思いません?

 近い将来、チェスで起きたように、人間とコンピューターの力の逆転は起きるのだろうか。
 本書は結論めいたものは提供していないが、個人的にはやはり、渡辺氏の以下の主張を支持したい。

 おそらく羽生さんなどは人類が到達しうる限界点に近い強さの将棋を指している。
 そんな羽生さんでも間違えることはあるから、「人間は完全」とはいいがたいのだが、羽生さんに近い実力を持つ人が他に何人もいて、そうした人たちが切磋琢磨しているのにコンピューターがそれらの人たちをすべて超えるというのはとても想像ができない。(162P)

 がんばれ、人間。

ボナンザVS勝負脳―最強将棋ソフトは人間を超えるか (角川oneテーマ21 C 136)

著者:保木 邦仁,渡辺 明

ボナンザVS勝負脳―最強将棋ソフトは人間を超えるか (角川oneテーマ21 C 136)

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